代表からのメッセージ

代表のメッセージ

日本において、海外へビジネスの活路を見出す企業が増え、日本に居住する外国人も増加するにしたがって、国内外において異なる文化背景を持つ人々となんらかのレベルで関わる立場に立たれる方は今後さらに増えてゆきます。日本においてはグローバル人材へのニーズが叫ばれて久しいですが、現在の中高生が社会人になる頃には、グローバル人材化は一部の、世界を飛び回る仕事をしている方のためのものだけではないことが、ますます明白になるでしょう。

 

グローバル人材の基本はとてもシンプルです。他国の組織と大きな交渉をまとめたり海外の消費者にプロダクトやサービスを提供する場合から、外国の方と仲良くなるといった場合まで、全てに共通するプロセス。それは、①相手の異なる価値観や視点を理解し、それに対する自分の立ち位置も客観的に把握し、②共通のもしくは自分なりの目的地点に向かって、③対話を通じ、共感し合い、関係を築いていくことです。多くの場合、コミュニケーションは英語で行われることが多いため、実践的な語学力も基本となります。

 

これらの素養は、実践を通じてしか身につかないものです。例えば、多様な相手への想像力を培うには、相手の異なる文化や価値観に触れて驚く体験が必要です。また、自分の文化や考えを発信する力を高めるには、相手の反応を見ながら、より上手く伝えられるように工夫や練習を重ねてゆくしかありません。そして実践は早いうちに始めるに越したことはありません。

 

しかしながら現状では、海外の人々と触れ合う中で実践的な語学力と共にグローバルな素養を身に着けてゆく機会は主に留学などであり、ごく少数の学生に限られています。

 

私達Kizuna Across Cultures(KAC)の運営する、オンライン文化言語交流プログラム「Global Classmates(グローバルクラスメート)」では、日本語を学習中のアメリカの高校生と日本の高校生がクラス単位でつながり、半年に渡って、幅広いトピックについて、写真や動画を交えながら、英語と日本語の両方を用いてコメントを交換し合い、友情を築いてゆきます。

 

日本の生徒にとってネイティブの英語に触れられることはもちろん貴重ですが、日本や日本文化に高い関心を持ってくれている海外の同世代が、決して完璧ではない日本語で積極的にコミュニケーションを取ってくれる姿にも多いに触発されるようです。通常の英語の授業ではなかなか身に付けることの難しい、英語によるcommunicative competence(伝達能力)を身に着けるためにも有効な機会となっています。

 

2011年の立ち上げ当初は、無名の団体が主催するバーチャル交流という馴染みのない企画ということもあり、半年ほどかかってようやく参加して下さる学校が双方の国に1校ずつ見つかりました。

 

その1ペアで実験的にプログラムを実施したのが2012年の頭、それからは、いち早く理解を示して下さった支援者の方々や、次回は私もと参画を決めて下さった熱心な先生方、そして先進的な協賛団体の皆さまのおかげで、数年の間に合計3000名以上の日米の学生をつなげるという実績を作ることができました。

 

大半は海外の方と交流と呼べるレベルの接触をしたことのなかった生徒であり、本プログラムがなければ決してつながることはなかったでしょう。そのうち、8割以上の参加者が、相手の文化や自国の文化への理解が深まった、異なる文化への関心が増した、外国でのコミュニケーションに自信がついた、などに賛成する成果が出ていることは、とても画期的で意義があると言えます。

 

異なる価値観や文化を共感を持って理解し、自国の文化を含め自分を表現し、対話と協力を通じて、コミュニティや国家ひいては世界の繁栄や平和、グローバル課題の解決に貢献するグローバル人材の育成に、私達は草の根レベルで長期的に寄与してゆきたいと考えます。

 

KACは引き続き、ICTの活用と学校との連携を通じ、海外との交流機会を学校の教室という日常の中で展開し、将来を担う世代が若いうちからグローバルな感性を身に着けてゆく機会を広げてゆくことに取り組んで参ります。

 

 

スメサースト文子 (共同創設者・理事・代表)