グローバル・クラスメート・プラス
グローバル・クラスメート・プラスとは
三菱みらい育成財団の助成を受けて2021年に開始したグローバル・クラスメート・プラス(GCP)は、一部の交流ペアで導入されたグローバル・クラスメートの進化版です。GCPでは、互いの文化を紹介し合う段階からさらに一歩進んで、社会における共通の課題についてリサーチし、情報や意見を交換し、解決策を考えます。通常版のグローバル・クラスメートで育まれる語学力、異文化理解に加え、クリティカル思考力、多様な視点、国際社会の課題への関心や貢献意欲、異文化の相手と連携する力の向上を目指します。
オンライン国際交流は素晴らしい学習成果が報告されているにも関わらず、世界的に高校生レベルでの実施があまり進んでいません。キズナ・アクロス・カルチャーズ(KAC)は、高校生のためのオンライン国際協働学習の先駆例である「グローバル・クラスメイツ」を進化させ続けることが、高校レベルのオンライン交流全体の強化につながると考え、たゆまぬ探求を続けてきました。GCPはその結果生まれたものです。
その仕組み
プログラムの前半は、通常のグローバル・クラスメートと同様に、日常生活や文化など身近な話題でウォーミングアップします。そして、プログラム後半で、GCPのカリキュラムに取り組みました。GCPでは、一つの社会課題(テーマ)について、複数回のレッスンに渡り、リサーチやディスカッションを織り交ぜた活動に取り組みました。
GCPのカリキュラム
最新のGCPカリキュラムは、1)食品廃棄物、2)多様性と包摂、の2つのテーマを取り扱いました。
食品問題
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食品問題をテーマに選んだクラスは、自分の州や県、市や町、学校などの食にまつわる課題や取り組みについてリサーチし、自分たちの分析や考えを加えて相手校の生徒たちに発表し、ディスカッションを行いました。生徒たちは、国が違っても似たような課題を抱えていることを発見したり、それに対する異なる解決策を学ぶことで、視野を広げることができました。
ダイバーシティ&インクルージョン
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ダイバーシティ&インクルージョンのテーマに取り組んだ交流ペアの生徒達は、まずはこのテーマに関連する用語について理解を深めました。そして、自分たちにとって身近な場所や環境がどの程度インクルーシブであるかを考えたり、一方でインクルーシブでない状況がどういった形で起こりうるのかを、互いの活きた経験を共有し合うことで理解を深めました。最後に、生徒たちは、よりインクルーシブな社会を築くために、どのような行動を取りたいか、共有し合いました。
GCPの利点
参加者の声
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福井県立若狭高等学校 生徒
食糧問題についての相手校のプレゼンテーションを見て、日本とアメリカでは、食糧問題の現状やそれに対する政府の対策が大きく異なっており、国が違うと同じ問題についてでもアプローチの仕方が異なることに気づきました。そして、食糧問題は自国内だけでなく、他国とも関わる問題であるため、他国のことについても知っておくべきだと気づきました。様々な視点からの意見を自分の中に取り込むことができ、物事を多角的にとらえることの大切さを学びました。文化が異なれば考え方や言動が違うということや自分の当たり前は相手の当たり前ではないということを実感できたので、自分の思い込みや先入観を捨てて、海外の方と関わっていこうと思うようになりました。
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大阪府立大阪ビジネスフロンティア高等学校
Equity (公平性)についてのレッスンで、男性の育休取得率が話題に上がった時に、アメリカにも日本と同じようにパワハラなどの問題が起こっていることを知りました。文化が違ってもなぜ似たような問題が起こってしまうのかなと考えています。多様性などについてみんなでディスカッションを行ったことはチャレンジではあったものの、違う文化同士でも解決した時や意見が一致した時の嬉しさを共有できたことや、交流相手の現地のリアルな情報や問題を知れた経験に満足しています。
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オレゴン州ビーバートン国際高等学校
私はアメリカに住んでいますが、このプロジェクトのおかげで、他国で認められる課題や解決策が、自分の国でも起きていることに気づきました。したがって、各国は協力し合ったり、共通の問題に対して同じような解決策を講じることができるはずだと。協力することは、問題を克服したり、有効で効果的な解決策を生み出したりするための、一番の近道だと、今の私は信じています。
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ジョージア州ロズウェル高等学校生徒
このプロジェクトは間違いなく私の目を開かせてくれました。特にアメリカにおける食品廃棄問題がいかにひどいものであるかを視野に入れさせるものであり、日本での(同様の問題に対する)解決策が印象に残っています。このような問題を解決するために、私たちは全体(世界)として協力すべきだと思います。
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宮崎県立宮崎商業高等学校大迫 康代 先生
海外の生徒のインクルーシブに関する内容に目を通し、自分達では経験しえないことを知る契機となったようです。また、インクルーシブに関して周囲の身近な生徒が考えていることを初めて知り、お互い気遣ったり声をかけたりするようになったように思います。当初は英文作成やビデオ作成に多くの時間を要していましたが、終盤のお別れのビデオ作成ではほとんどの生徒が短時間で動画を完成させるなど手際よく作業をこなしていました。ビデオ交流を行う中で、次第に沈黙の時間が減っていく様子や、生徒自身が自らの知識の中から単語を絞り出し、想いや意見を表現しようとする態度に私も心を動かされたものです。
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ジョージア州ロズウェル高等学校大貫 星子 先生
大きなトピックに挑戦し、生徒たちが「自分がGlobal Citizenの一員なんだ」と感じられたように思います。自分なりに身近な問題を発見し、リサーチを行い、意見や解決策のアイディアをパートナー校の生徒たちと交換する中で、そういった自意識やクリティカル・シンキングを育てられたと思います。難しい課題ではありましたが、達成感を持てたようで、また自信に繋がったと思います。通常のGCトピックでは、お互いの生活で違うところに目が行きがちかと思いますが、今年のGC Plus「食糧問題」では、国は違えど抱える問題が同じである点に気がついた生徒が多かったと思います。そして、それぞれの国ならではの解決策があって、その発見や意見を交換できたことで、視野が広がったように思います。
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